Device Troubles 端末別の障害と作業特性
削除、初期化
誤って削除してしまった場合は、データの種類、端末によって作業特性が異なります
画像や動画の場合
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削除した画像や動画ファイルなどのデータ復旧をご希望の場合は、端末内部に実装された半導体ストレージの記憶領域すべての抽出から試みます。この作業は、“各端末メーカーの開発言語※”を用いるため、メーカー、キャリア、型式、Android OSのバージョン、セキュリティなど端末の仕様によって抽出作業が行えるかどうか異なります。※一般には開示されない技術情報のため、ほとんどのデータ復旧会社は対応していません。
記憶領域の抽出に対応している場合は、抽出した記録イメージで解析しデータ復旧を試みます。削除後の端末使用期間が長かったり、新たにデータを保存したりすることによって削除ファイルの痕跡が消失していくことから、誤って削除してしまった場合は直ちに電源を切り、端末を使用しないことがより多くのデータを復旧できる可能性を高めます。この作業によって復旧されたデータの多くは、ファイル名を消失した状態で復旧されることが多く、撮影された日時などで分類します。
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iPhone4S以降の端末は、セキュリティの仕様上ユーザーが意図することなく最初から“記憶領域が暗号化”されており、仮に何らかの方法で記録領域すべてを抽出できたとしても意味消失なデータが記録されているためファイルの解析ができないことから復元不可となります。
電話帳や通話履歴の場合
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電話帳やメール、またチャットや通話履歴などは、データベースと呼ばれるファイル形式で、画像や動画ファイルとは異なるセキュリティレベルの高い記憶領域に格納されています。データベースファイル自体が削除されていない場合、削除された情報はデータベースファイル内に痕跡として残っている場合があり、データベースファイルを抽出することができれば解析が可能となります。
しかし、アプリケーションの仕様によっては、消去された情報を特定のタイミングで“データベースから痕跡すら抹消する機能”を有したものもあるため、画像や動画などと同様に誤って削除してしまった場合は直ちに電源を切り、端末を使用しないことがデータを復旧できる可能性を高めます。
アプリケーションの場合
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誤ってアンインストールしたアプリのデータなどについては、同じアプリを再インストールしたり、アンインストールから使用期間が経過したりしていなければ、データが復旧できる可能性が高まりますが、特殊なデータ構造をもつアプリの場合、対応が困難となる場合もあります。
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アンインストールされたアプリケーションの情報の痕跡が暗号化されているため解析できず、復元不可となります。ただ、iPhoneを一度でもパソコンに接続した経緯がある場合は、“iTunesのバックアップファイル”が生成されているため、これを使った復元が可能になりますが、暗号化を設定している場合は解除するためのパスコードが必要となります。
- これらすべての作業は、パソコンに接続したデータ復旧ソフトの使用や、端末自体に復元ソフトをインストールして実行するような低レベルの作業ではなく、各端末メーカーの開発言語を用いた制御下で行っています。しかしながら、販売時からAndroid OS 6.0以降を採用したモデルの場合は、iPhone同様端末の記憶領域が暗号化されているため、各端末メーカーの開発言語で半導体ストレージの記憶領域すべての抽出に対応できたとしても抽出した情報が暗号化されているため、「ファイル単体」のデータ復旧は不可能となります。
パスコードロック障害
パスコードでロックされた端末の場合は、端末の仕様により作業特性が異なります。
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誤って規定回数を超えたロック解除操作をしてしまい端末が使用できなくなったものや、パスコードを忘れてしまったものなどでも対応可能な場合があります。これらの作業は、端末やAndroid OSのバージョンなどによって対応の可否や対応方法が異なります。端末メーカーによっては、メーカー固有の“開発言語モードで起動”することにより、通常の起動手順を迂回させ、パスコードを入力せず開発言語で記憶領域の情報抽出を行うことが可能な場合もあります。
メーカー固有の開発言語モードで対応できない端末については、通常の解除操作に従うしかありません。4〜17桁の数字を組み合わせる「PIN」の場合、例えば4桁の数字のPINであれば、0000から9999まで順番に入力していき解除できるかどうか試みます。専用の自動入力装置を用いての解除作業ですが、総当たりで行う入力作業のため膨大な時間を必要とすることが前提となります。事前にPINが特定、推測できそうな条件が揃っている場合は、それらを優先して組み合わせた自動入力を試みる設定により作業時間を短縮できる場合があります。
9つの点から最低4つの点を選び一筆で結ぶ「パターン」や、4~17字の英数・記号文字を含む「パスワード」の場合、試行回数が増えることやセキュリティ機能で一定の間、入力を受け付けない状態に陥るため長期間の作業が必要となります。また「指紋認証」の場合は、基本的に対応不可となります。
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「iPhoneは使用できません」と表示され使用できない状態でも、特殊な操作でロックをバイパスすることによりバックグランドでパスコードの入力を受け付ける場合があります。
解除作業はAndroid同様、通常の解除操作に従うしかありません。解除作業中に規定回数や誤った入力をしたことによって端末が使用不可になったり、初期化されたりすることを防ぐため、専用の自動入力装置を用いて一定回数解除を試みたら端末を自動で再起動させ、作業回数をリセットさせるなどでリスクの低い作業を行います。これらの作業は、機種やiOSによって対応の可否が異なります。
- 「PIN」、「パターン」、「パスワード」、「指紋認証」のいずれかにおいても、セキュリティの設定によっては試行回数を超えたことでデータが抹消されるリスクもあります。このようなこともあり、端末内部の基板解析やチップオフ作業に対応した端末の場合は、最初からこれらを試みる場合もあります。
液晶破損
液晶が破損して使用できない場合は、通電反応などで作業特性が異なります。
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端末の落下、破壊などによる液晶のひび割れなどでタッチパネルの操作を受け付けない場合や、画面が液晶に出力されないなどの操作画面の異常による障害の場合は、端末を開封した作業が必要となります。障害によっては、同機種の端末を“ドナー”として用いて、液晶もしくは画面を出力する回路部の基板を交換するなどで機能改善を試みます。液晶以外に異常がある場合は、基板や端子など異常箇所の特定し修復を試みます。
- 液晶破損の場合、単純な部品交換のように思えても、本体ケースの材質やビスを用いない特殊な組み込み仕様で破壊前提での分解が必要な場合があります。これらを経て機能を改善したとしても、「PIN」、「パターン」、「パスワード」、「指紋認証」などのセキュリティ機能により、本人以外の操作ができない場合もあります。
起動障害
OSが起動できない場合は、起動前、起動後の症状などで作業特性が異なります。
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再起動を繰り返す、または起動後に電源が切れるなどで端末が正常に起動できない場合は、その症状や端末によって作業特性が異なります。
再起動を繰り返したり、メーカーロゴが表示されたりしてAndroid OSの起動が完了しない場合は、“システムに異常”がある可能性があります。この場合、端末メーカーによってはメーカー固有の開発言語モードで起動することにより起動手順を迂回させ、開発言語で記憶領域の情報抽出を行うことが可能な場合もあります。
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起動はするがリンゴマークが表示されてから先に進まない、または勝手に「リカバリーモード」になり通常の起動ができないiPhoneの場合、iOS障害もしくはiOSを含むシステムデータを記録している半導体ストレージ障害の可能性があります。iPhoneやiOSのバージョンによっては、リカバリーモードの状態から内部の記録情報にアクセス可能な場合もあるため、記録されているファイルの抽出を試みます。
リカバリーモードの状態からデータの抽出ができない場合、またはiPhone内部に実装された半導体ストレージ障害の場合、iPhoneを開封し基板から半導体ストレージを取り外し“半導体ストレージの異常箇所を修復し基板へ再実装”することにより復旧可能な場合があります。
- Android OS、iOS共に、端末内部の半導体ストレージにインストールされており、起動障害の多くは、これら半導体ストレージの不良による障害であることがほとんどです。また電源障害による不安定な状態下でOSのアップデート中に電源が切れ、内包されたシステムが破損したことで使用不可の端末となってしまうこともあります。このような場合は、端末内部の基板解析や半導体ストレージのチップオフ作業に対応した端末の場合は、最初からこれらを試みる場合もあります。
基板障害
基板の障害で使用できない場合は、障害に至った経緯で作業特性が異なります。
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端末の外観は正常だが通電しない、バッテリーに異常はない、端末が水没した、大破しているなど、これらはすべて基板の障害となります。この場合、まず端末の分解を行い異常箇所の特定と修復を試みます。USB端子、Lightning端子(iPhoneのみ)、microSDカードスロット、SIMカードスロット周りなど、普段の端末使用において抜き差しによる負荷が多い箇所に生じやすい基板損傷などの問題がないか、充電回路に問題がないかなどを検査します。
基板自体に問題はなく、電子部品で構成された回路に問題がある場合は、“各メーカー端末の基板図や回路図”を参照しながら、どのレベルで機能が断たれているのかを見極めていきます。本体の形状が曲がるほどの破損状態の場合は、1ミリに満たない“電子部品が基板から外れている”ことが多く、これらを考慮した上で慎重な分解作業を行わないと修復箇所が特定できず、機能を回復できなくなる場合もあります。分解後はチップ抵抗、チップコンデンサ、チップダイオード、マイクロコイルなどの外れ、はんだ浮きなどによる回路寸断がないか確認していきます。
基板の回路パターン切れや低温レーザーで“マイクロソルダリング”されたコネクタなどの障害の場合、作業によるパターン損傷やパーツ融解を防ぐため、0.01mm~0.1mmの極小ワイヤを使った、“マイクロワイヤリング作業”による回路結線で機能回復を試みる場合もあります。
Android端末の場合、これら作業を行ったにも関わらず問題が改善されない障害の場合や、水没による基板腐食などの場合は、最終手段として“チップオフ作業”を行います。これは、データが記録されているeMMCなどの半導体ストレージを取り外す作業で直接データの抽出を試みる作業なのですが、基板と半導体を密着させるためのアンダーフィル除去などにより再作業ができないワンチャンスの作業となります。
iPhoneの場合、データが記録されている半導体ストレージを同型のiPhoneに乗せ換えるだけでは端末固有の暗号化により正常に動作しません。このことから暗号を生成する情報が記録されている半導体などをすべて正常な基板へ移植する必要があり、“最も難易度の高い作業”となります。
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販売時からAndroid OS 6.0以降を採用したモデルの場合は、iPhone同様ユーザーが設定していなくても端末の暗号化が有効となっていることが多く、チップオフ作業で半導体ストレージを取り外しても抽出する情報が暗号化されているため、データ復旧は不可能となります。また、端末固有のハードウェア情報を交えた暗号化が行われているため、取り外した半導体ストレージを同型の機種へ換装する作業なども不可能となります。
本体が変形している場合は、バッテリーも同様に変形している場合があり、電極部の負荷から突然発火する恐れもあります。リチウムイオンバッテリーによる発火時は700℃を超える高温に達しますので、破損した端末は保管場所にも細心の注意が必要となります。
Question こんな事でお困りではありませんか?
弊社では以下のような症状・障害のスマートフォンに対応いたしております。下記の症状以外につい
ても対応可能な場合がありますのでお問い合わせください。
- 動画・写真
- 誤って本体に記録していた写真や動画を削除してしまった。
- メール・連絡先等のデータ
- 誤って本体に記録していたメールや連絡先を削除してしまった。
- 初期化
- 誤って端末を初期化してしまい、大切なデータが全部消えてしまった。
- パスコードロック
- パスワードを忘れた、又は何らかの理由によりパスコードロックを解除できなくなってしまった。
- 液晶の破損
- 誤って落下させたり、なんらかの影響で端末の液晶にヒビが入って操作を受け付けない。
- 再起動
- 端末が、使用するたびに再起動を繰り返して使用できない。
- 電源
- そもそも電源が入らなくなってしまい、まったく操作を受け付けない。
- 水没・落下
- 水没・落下・その他理由によって破損し、まったく操作を受け付けない。
Plan 復旧作業プラン
お預けになる前の注意事項
SIMカードは通常抜いた状態でのお預かりとなります。事前にSIMカードを取り除いた状態でお預け下さい。
必要なデータが本体に記録されているかの確認をお願いいたします。
(microSD等に記録されていないか)
作業によって、メーカー保証などが適用されなくなる場合があります。ご依頼の際は、事前にメーカーやキャリアとご相談ください。
※このサービスはスマートフォン・タブレットを修理するものではありません。破損した部品などはそのままの状態での返却となります。