Characteristic デジタルカメラ各種メモリのデータ復旧作業の特性
データ復旧の手順
❶ 開封が必要かどうか判断をします。
開封が必要ない場合はデジカメメモリのインターフェースから接続し、データの解析を行います。その抽出したデータを解析しファイル化します。開封が必要な場合は重度障害となりますので作業を進める際は別途開封解析検査費が発生します。
❷ SDカード開封の様子
デジカメメモリを開封し搭載されているNANDフラッシュメモリ(データが記録される部分)を専用の装置を使用し取り外します。ただし、メモリの種類によってはNANDフラッシュメモリとその他の基板が一体化しているものがあり、その場合は下部の「モノリスタイプの復旧」作業が必要となります。
❸ バイナリデータの取り出し
取り出したNANDフラッシュメモリからバイナリデータを取り出します。しかし、取り出したバイナリデータはファイルがばらばらの状態でそのままではファイルが取り出せません。
❹ バイナリデータを解析
そこで取り出したバイナリデータを解析し、正しいファイルが取り出せるように順序の変更や結合、組み替えを行います。
モノリスタイプの復旧について
❶ モノリスタイプとは
NANDメモリ製品の多くは、データの入出力を行うインターフェイス、データを記録するNANDフラッシュメモリ、これら双方を制御するコントローラで構成され、基板上に実装されています。しかしmicroSDなど一部のメモリ製品では、これらすべてが一体型となっているものが存在します。これらはモノリスタイプと呼ばれています。これらモノリスタイプで通電反応がない場合などの重度障害時は、NANDフラッシュメモリだけを取り外しての解析が行えません。
❷ メモリへの加工とワイヤリング
モノリスメモリに加工を施し回路パターンを露出させます。モノリスメモリのメーカーや種類によって回路もさまざまで異なるため、封入されたNANDメモリの各ピンへの配列を信号の波形を計測しながら特定していきます。その後専用の治具を用いて髪の毛ほどの極細のワイヤを接続していきます。この作業を「ワイヤリング」と呼んでおり、精密回路に対する加工により回路損傷などのリスクもあるため、顕微鏡を用いた高精密はんだ技術と電子回路知識が必要とされます。
❸ バイナリデータの取り出し
ワイヤリングを行ったあとは専用の解析装置に接続しバイナリデータを取り出す準備を行います。コントローラの制御がない封入されたNANDメモリに対する微弱な電圧コントロールができないため、正常なバイナリデータが取り出せるまでに数回の調整を行いながら正常値を割り出していきます。ここまでの工程においてはマニュアルや仕様書などまったく存在しないため、これらすべてを手作業で行っていきます。これら一連の作業を経てモノリスタイプのNANDフラッシュメモリの部分からバイナリデータの抽出が初めて行えるようになります。
❹ バイナリデータを解析
取り出したバイナリデータを解析し、正しいファイルが取り出せるように順序の変更や結合、組み替えを行います。